学校インタビュー

国府台女子学院小学部 山田教頭先生 インタビュー

2023年6月に国府台女子学院小学部で教頭を勤めていらっしゃる山田先生にインタビューにいってきました。

いつも学校全体をみていらっしゃる先生です。温かい眼差しと広い懐をお持ちの先生のお話をぜひご覧下さい。

質問者 キッズさくらカレッジ幼児教室 上田香織

回答者 国府台女子学院小学部 山田教頭先生

本日はお時間をいただきありがとうございます。いろいろとお話を聞かせていただければと思いますのでよろしくお願いします。

それでは、まずは先生の経歴からお話をお願いします。

私は市川市の公立小学校で教員として7年間務めました。その後、平成元年に、以前から存じ上げておりました当時の副学院長先生から、「うちの学校に来てもらえないか?」というお話をいただきました。女子校でかつ私立校ということで私に務まるかどうか正直悩みました。しかし、副学院長先生の熱意に応えなければと承諾し、平成元年の4月1日から、国府台女子学院小学部で働かせていただくことになりました。

そうだったのですね。平成元年から今までとなりますと、こちらに勤められましてどれくらいになるのでしょうか。

教員になってからは42年になりますが、ここに来てからは35年になります。

そうなりますと、国府台と言ったら山田先生と言っても過言ではないですね。

もっと長く勤められている方もいますよ。

先生が教頭になられてからはどれくらいになるのでしょうか。

副教頭になったのが42歳の時でして、そこから10年ほど副教頭と担任を行いました。その後、教頭職につきましてそこからは担任は外れました。

教頭職についてからの10年は授業現場から離れているのでしょうか。

理科の専科を担当したり、算数の補助についたり、また総合学習を担当したりしております。

そうしますと、まったく現場から離れているということはないのですね。

そうです。今も月曜と木曜日に2コマずつ週4コマの総合的学習の時間を担当しております。その他、毎週水曜日に学校見学会などを行っていますので、募集関係の業務があります。

教頭先生としてのお仕事は外部とのやり取りがメインなのでしょうか。

そうですね。幼児教室対応ですとか、保護者様対応ですとか、あとは施設の修理、草刈りや毛虫退治など何でもですね。

何でも屋さんですね。
今のお話に保護者対応が出てきましたが、具体的にはどのようなことでしょうか。

直接担任にお話しできないような話があったときに私が相談を受けまして、その上で担任に話をしたり、あるいはもう少し話を広げ、「いろいろと聞いた上で対応した方がいい」などと判断したりします。また、最近は子供同士のトラブルから保護者同士のトラブルに発展することがありますので、その仲介役をしたりもします。

保護者の皆様には、担任の先生に話しにくいことがあったらお話くださいといった案内をされているのでしょうか。

長く学校にいるということもあるのでしょうが、学校説明会などを通して接点がありますので、担任が発表される前から知られていますから、困ったことがありますと自然に相談に来られます。担任の先生よりも早く人間関係が出来る分、話しやすいのかもしれません。

通わせている保護者目線に立ちますと、担任の先生以外にも相談しやすい先生がいるというのは大変安心するかと思います。

それから、25年間ほど市川駅で、子供たちのバスへの乗車の誘導をしてきました。その際に、保護者の方が、「先生、お話いいですか」と来られるのです。あまり構えずに気軽にお話をいただいたこともあり、保護者の皆様と人間関係を作ることができたのでは思います。

先生は今でも市川駅に立たれているのでしょうか。

いえ、現在は誘導員の方と当番の先生にお願いしております。

では次の質問なのですが、山田教頭から見られまして国府台女子学院の良い所を教えてください。

私が公立校からこちらに来てまず驚いたのが、子供たちが私の目を見てしっかりと席についているということでした。こちらが教室に入ってから挨拶までの流れにとても感動しました。それから子供たち一人ひとりが高い向学心を持っていることです。何をやるにしてもとても一生懸命で、コツコツやる子が多いですね。中にはそういったことが難しい子もいますが、他の子たちが非常によくやりますので、自然といい意味で染まっていくのです。最初はフラフラしていた子もちょっとずつ周りを見て気づき、良い方向へ染まっていくのがいい所なのだと思います。共学校のように動きの激しい男の子がいますとそれに釣られてしまいがちだと思いますが、当校のように女の子だけですとそういったことが無く、しっとりとした感じになります。そのしっとりとした状況の中で、コツコツと取り組む姿勢が大きな特徴かと思います。

学院長がよく、「身近なあこがれがいて、そのあこがれが目標となって、さらにライバルになっていく」と話されます。小学部のお子さんからすると、中学部や高等部のお姉さんは雲の上のような存在に感じていますが、学院祭や部活の練習、登下校などを通して触れ合っていますので、身近にそのような先輩がいるということは自分の目標が決めやすいことにつながるのかもしれません。普段から活発な交流があるわけではないのですが、通学時など具合が悪いときや困ったことがあると、中学や高等部のお姉さんが連れてきてくれることがあります。面倒見の良い子たちが多いのも当学院の良い所です。目立ったものがあるわけではありませんが、根っこの部分にしっかりとしたやさしさがあるのだと思います。

反面、女子校特有の問題というのもあります。私が一番悩んだのが距離感です。こちらに来て最初の2年間は担任につかず外から見させてもらいました。そして3年目に初めて担任となりました。最初にお話しした公立校では、「みんなついてこい!」と元気にやっていたのですが、こちらに移って来て受け持った最初のクラスは完全に誰もついてきませんでした。特に中・高学年になりますと、子供たちから「先生はしつこい」と言われてしまいました。

女の子の難しい所ですね。

構わないとそれはそれでまた、「私たちの事を無視している」と言われてしまいますので、本当に距離感については悩みました。そうして一つ決めたのが、【いつでも待とう】ということです。子供たちが振り向いたらいつでもそれを受け入れ、それ以外は見ていようと決めました。極力手を出さずに子供たちが困って、私の方に目を向けた時に手を出すと、子供たちの中にスッと入っていくことができ、ようやく子供たちとコミュニケーションが取れるようになっていきました。

構いすぎてもいけません、無視してもいけません。そのいい塩梅を見極めるのに10年かかりました。今でも完璧に出来るわけではありませんし、年々子供たちも変わっていきますので難しいことです。ですが、基本のスタンスはそこに置いています。

学校の様子だけでなく通われている生徒さんの様子もお話しいただきよく分かりました。
次に小・中・高の関りというのがどれくらいあるかお聞かせください。

連携で言いますと、4月の新年度になりましたら小中連絡会議というのがございまして、前年度卒業した児童の担任と中1の担任が一堂に会しまして情報交換を行います。悩んでいる子がいる際は、小学部の時にどうだったかをお話しし、対応を一緒になって考えます。細かいやり取りは常に行っており、何かあったらその都度協議する体制をとっています。
平成4年度まで運動会は小中高合同で行っていたのですが、現在は小学部が独立して行い、中・高が一緒に行っています。全校で一緒になって行うのは学院祭ですね。
あとは、現在は行っていないのですが、高等部の書道部の生徒が小学部に教えに来てくれていたことがありました。

それはいいですね。学院祭での書道部のパフォーマンスを見たことがありますが、とても素晴らしいものでした。そういったお姉さんに教えてもらえるのはとてもいい体験でしたね。

時間が合えばまたやってもらいたいなと考えております。

最後になりますが、先生の方から何かお伝えしたいことがありましたらお願いします。

保護者の皆様にお願いしたいことがあります。それは、【待ってほしい】ということです。最近特に感じているのですが、とにかく結果を早く求める方が多いのです。何かトラブルがありますと、「早く何とかしてください。相手の保護者には連絡されたのですか!」と言われる方が多く見受けられます。子供同士のことはすぐには解決できなくても、子供たちはそういったことを通して少しずつ大人になっていくのです。私自身が子供たちとの距離をなかなか取れなかったことと同じように、子供たち同士も距離感を喧嘩などをしながら理解していくのです。ところが、今は何かありますとすぐに保護者の方が関わってくるのです。子供たち同士で解決できるので待っててほしい時に、親同士で連絡をとり合い、かえってこじれてしまうことが多々あります。ですから、そういったトラブルがあった際、まずは担任の先生に相談し見守ってほしいと思います。

何に関してもすぐに結果が欲しいという風潮があるのは理解していますが、教育現場ではあまり好ましいことではありません。子供たちは自分たちで解決できる力を持っていますので、そこに親が手を出したり口を出したりしますと、せっかくの子供たち自身で解決する力を親が吸い取ってしまうのです。
それからお子様と親の距離が近い方が増えたように感じます。お子様のことについて気をつけてほしいことをお話しますと、親御さん自身が言われたように受け取ってしまい、その結果、子供に圧をかける方がいらっしゃいます。ご自分のお子様であっても客観的に見る目を持ってほしいと思います。難しいことだと思いますが、忍耐力をもって接していただけたら有難いです。

自己解決の力を養うためにも大切なことですね。
たくさんお聞かせいただきましてありがとうございました。

こちらこそありがとうこざいました。

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