2011年12月6日 聖徳大学附属小学校・松山校長インタビュー
 
 
 
 ※以下の記事はコメント者ごとに色分けしております。内訳は以下の通りです。
 緑字 松山校長コメント
 橙字 塾長コメント


 運動場の土を入れ替えられたとお聞きしました。

 7月に一部を入れ替えました。いろんな所で土を入れ替えるのが効果があると聞きましたので、土を入れ替えることを想定して試しにやりました。かなり広範囲にわたって20センチ弱掘って、その掘ったところの放射線を測定しました。これが0.06〜0.07位の値でした。確かにある程度掘っていけば放射線量が低いことはこれでわかりました。30秒ごとに放射線測定器で定点測定しますと、このデータが変動していきます。これは放射線量は固定しているのではなく、周りの状況によって流動していくというふうに判断しました。

 それで聖徳大学の施設課と相談して、土を入れ替えるとどれだけの効果があるのか試してみようということになって、今はだかの状態にしているのですが、1ヶ月くらいすると、場所によっては0.15程度に上がってくるのです。

 放射線は浮遊していたり、雨が降って低いところに集まってくるということがあって、あながち土の入れ替えだけが効果があるかどうか検討中です。それ以外に放射線を除去する薬もできていますので、多角的に検討しているというのが現状です。
 6月から測定を始めているのですが、6月に運動場の中央部分地上5センチの所では0.32マイクロシーベルトでした。高い値ですのでその当時は野外活動を制限しました。そして子供たちの安全を第一に考えて高圧洗浄機を購入したり色々手を打ちました。

 当時玄関のコンクリート部分は0.28マイクロシーベルトという数値が出ていました。学校としましていろんな努力をしました。緑に囲まれた学校ですので、枯葉を全部除去するとか、溝の土を全て取り除くとか、一方では校庭の土の入れ替え、そして芝を定時に刈り込んで伸ばさない工夫等をしました。

 現在は運動場の中央部地上五センチの所で、0.10マイクロシーベルトと減少しました。そして日によっては0.07マイクロシーベルトという数値が出ています。まず安定しているといえます。
 正面玄関は高圧洗浄機で除染すると、0.07位の値になるわけですが、時間がたつと0.12程度に戻ってきます。とにかく除染して1.0以下に下げています。

 しばらくは様子を見て値が高くなったら除染ということになりますね。

 それは繰り返し、しているわけですね。学校行事に支障が出ます。遠足も中止しましたし、体育的行事をかなり中止しています。ちょうどあしたは全校遠足を学内でやろうということになりました。明和班活動をメインに1年生から6年生までオリエンテーリングとか、先生方が要所要所にいてクイズ大会とかをやります。お弁当やおやつも持ってきて食堂(じきどう)で食べます。

 それは楽しそうですね。

 長縄跳び大会も校庭でやれなかったので、体育館で工夫してやります。子供たちはとにかくお兄ちゃんお姉ちゃんと遊びたいし、学校の中でおやつを食べたいのです。

 除染たいへんですが頑張っていただくしかないですね。

 とにかく保護者の皆さんにご心配かけないようにしなければいけません。20年後の子供の健康のことがありますので万全の対応をしたいと思っています。

 次の話題ですが、あらためて私立小学校の良さをお聞かせ下さい。

 私立はそれぞれ独自な教育理念で学校経営をしているのが第1の特徴です。もう一つは今年から新しい学習指導要領による指導が開始されました。これは日本の子供たちの学力が不安だという状況を受けての改定ですので、非常に質の高い指導要領になっています。

 私も算数の教科書の編集をしているのですが、この1年生の算数の教科書を見てください。今までの教科書の最後のページが112ページですが、今年子どもたちが手にした教科書の一番最後のページは156ページです。30%増えています。

 要するに各学年算数で言うと内容が30%増えたということです。にもかかわらず公立学校は週5日制ですから、子供たちの授業時数はほとんど変わらないのです。

 公立では新学習指導要領を消化できるかどうか問題ですね。

 そこなんです。学力といっても学習機会、つまりどのくらい勉強したかが非常に大きいと思います。
 私立学校はそれぞれ土曜授業を実施したり、毎日の時間割を工夫して授業時数を増加させていますので、子どもの学習機会という点でこれから差が出てくるのではないかと思います。
 
 私も公立学校の先生方と一緒に研究したり、学校をおたずねして授業を拝見して色々と協議したりするわけですが、やはり現場の先生方が今一番心配なさっているのは、指導内容が増えた分だけきちんと授業が出来るかどうかということの不安ですね。
 私の学校のデータで申し訳ないのですが、1年生から6年生まで公立学校が持っている標準時数より年間100時間から200時間多いです。これは土曜日に授業があることと、5時間目と6時間目の授業を日常化しているからです。6年間トータルしますと910時間という数字が出ています。これは1・2年生の年間時数に匹敵します。小学校を7年間やるようなものですね。

 子供たちの学習機会を保証しているという意味では、私立学校はそれなりのスタンスで教育をしている一つのデータだと言えます。ただし、それぞれの学校では希望中学校への進学ということがありますから、教科書だけやっていればいいというわけではありません。余剰時間は教科書を超えた発展的な学習の時間に当てているというのは間違いのない事実です。

 私たちの学校も教科書は6年生の1学期で終了しようとカリキュラムを組んでいますから、あとは子供たちの発展学習です。これは公立とは全く違うところです。

 今の教育課程は昭和43年当時に準拠しています。いわゆる教育の現代化を迎えた時にかなり学力を重視した教育課程に編成したのですが、その時代と同水準になっています。それ以降は基礎基本を大事にしようとしたり、ゆとりを大事にしようと言ったりして、だんだん指導内容を減らしてきたのです。
 気がついたら世界の水準から比べてかなり課題が出てしまったのです。今回は昭和43年の教育課程に近付けているのです。だからわが国では最高水準の学力を期待している教育課程になっています。これがうまい具合に機能していけば世界に冠たる学力を保持することが可能になります。そのためには授業時数をどう確保するかが大きな課題になっているのは事実です。

 なんとかこの新指導要領をやり遂げてほしいですね。

 昭和43年を振り返ると、歴史は繰り返すのですが、昭和43年の教育課程がスタートして10年後に次の教育課程に変更するわけですが、その時には落ちこぼしが多いというわけで結局緩やかにしていっているわけです。

 要するにかなり高度な教育課程を編成して10年間子供たちを育てたが、かなり落ちこぼしが多くなっていっている。だからもう少し基礎基本を大事にしたものでなければいけないと下げてしまったのです。

 その二の舞はいやですね。

 あと10年たったら子供たちが勉強についていけずに、色んな子たちが出てきてしまって、そちらのほうの対策に苦労するようなことが起きないようにしなければいけないのです。

 歴史は繰り返すので、日本の数学教育の歴史をみると、教科色の強い教育課程を編成すると10年後に人間性を重視した教育課程に移行していくのです。そうするとまた学力のことが問題になって教科色の強い指導要領にして、またそれが10年後に人間性豊かな方向に切り替わるのです。両方の行ったり来たりの繰り返しですね。

 ただしここのところずう〜っと人間性人間性と言っていたので学力は落ちてしまったのです。そんな二の舞は踏みたくないですね。歴史に学ぶというか、個々に色んな経験があるのでそれをしっかり学んで、何が原因でそうなったかを分析しながら来るべき時代に備えていかなければいけないと思います。

 次に放課後スクールについて伺いたいのですが。

 5・6年になると、保護者の皆さんが学校だけでなく塾に通って目指す学校の為の勉強をしようという動きが出てきますが、私たちは1・2・3年生の子たちにきちっとした学習習慣をつけてあげたいと思ったわけです。初等教育の時からこれをやりなさいあれをやりなさいと人から指示されるのではなくて、自分で何かをやっていく力、与えられた時間を自分で効果的に使う学力、これを子供たちにつけてあげたいと考え放課後スクールを作りました。

 現在1年生は2時半に授業が終わりますので、その後30分間英語の会話を中心とした授業を行い、その後15分間のおやつタイム、おやつの後は20分間の宿題をやる時間、宿題が終わったら自分のやりたい勉強をする時間が20分となっています。これが1年生なので4時には終わるようにしています。この下校時に合わせて臨時バスも用意しています。1年生の参加者は80%になっていて、保護者の方々もこの活動にはご理解を示して下さっていると思います。2年生の参加者は63%、3年生は70%となっています。

 参加率が高いですね。先日放課後スクールを拝見しましてずいぶん楽しそうでした。

 まとまった時間、自分でコントロールしてきちっと何かをやり遂げっる経験を累積させることが大切です。
 子供の自学は大切していますが、保護者の皆さまは何をやってきたのかとか、ノートはちゃんと取れているかに関心があると思いますので、私を含めて色んな学年の先生方が協力して子供たちの勉強を見ています。
 私は子供の個々の学習状況が見られるので、子供たちと勉強につての会話をする機会が増えたことはありがたいことだと感じています。

 放課後スクールは週に何回やっておられるのですか。

 1年生が週2コマ、2年生が週2コマ、3年生が週1コマとなります。全て無料で行っています。

 アフタースクールの取り組みは、2・3年後に結果がでてくると思われますね。

 そうですね。目の前の短期目標、中間目標、それから長期目標を持って、進行状況を見ながらやっていかないと目の前だけでは駄目です。

 6年間で、どう子供を育てるかということだけれども、一番大事な時期は3・4年だと思います。子供が一番発達する時期です。10歳程度をどう刺激していくかということが小学校教育の要です。今、教育課程が一番内容豊かなのは4年生です。4年生が論理的な思考力、物事を記憶する力が一番発達します。この時期にピシっとした教育を受けた子供たちは間違いなく伸びていきます。

 10歳前後は脳の中の論理的な思考をつかさどる分野が活発に活動しはじめるわけです。それと記憶をつかさどる前頭葉が非常に活発になるのでそのときに物事を記憶する経験や、筋道を立てて考えて行う経験をつんでいると、脳が豊かに育ちます。人間の成長には結節期というものがあります。早くやればいいというわけでもありません。学習には適時期があります。人生のそれぞれの時期に生ずる課題、今抱えている課題をクリアしないと次に進めないというのが、ハヴィガーストが提唱した発達課題です。

 小学校1年生でも先生の膝の上に乗っからないと安心しない子がいます。まさに、母親のぬくもりを感じて育つ時期にそのぬくもりを母親が子供に与えないがために子供がそこから踏み切れていない、誰かに接するときはぬくもりを感じていないと出来ないという状況です。だから、一年生の先生に「『膝の上に乗ったらおかしいでしょう』なんて言わないで受け入れてあげなさい」と言っています。発達課題をクリアしていない子はぎゅっと抱きしめて受け止めてやりなさいと。ある程度納得すると自立していくのです。
 結節期とは、成長過程にある課題が一番クリアしやすい時期(学習の最適期)のことです。4年生は記憶力が伸びるといいますが、わが校では古典を音読させます。意味がわかろうがなかろうが、朝の10分間読書の時間に音読させています。繰り返し行うことで脳神経の回路が非常に活発になりますので、そのような経験を積んだ子供たちは5,6年生になって歴史学習が始まったときに苦労しないで覚えられます。全ての子供に該当するというよりも、集団の傾向性です。個体差も少しあります。

 物事を判断する価値基準も、一年生にとっては担任の先生が価値基準になってきますから、先生が何を子供に伝えたかということがその子たちの行動基準になっていくのですね。それが続いていくのかというとそうではなくて、2年生の後期ぐらいになると自分で価値基準を決めようとします。今までピシッとしていたのに自分の判断で行動するので、乱れてくるように見えるのですが、それは成長ですね。そうして他律的な道徳から自律的な道徳に切り替えて自分で何かを決めて行動するよう育っていくわけです。

 本日は我々幼児教室の者にも有益なお話を伺い有難うございました。来年もご指導のほどお願いいたします。

キッズさくらカレッジ幼児教室 上田豊治
キッズカレッジ幼児教室 やちよ中央教室